20年以上前のこと。今も忘れられない出来事がある。父親といとこの家に行き、扉を開けたら、いとこが首を吊って、自ら命を絶っていた。
叔母にあたる私の母親、私、父親、皆が自分のことを責めていた。
いとこが自死してから暫くの間、私達の家族は表面上は普通を装っていて、言葉にはしないけど、それぞれ自分のことを責め続けていた。
第１発見者の父親と私、父親は強がって何とか平静を保っているような感じがしたし、私はなんでもない時に、急に悲しくなって涙が止まらなくなったり、でも、家族には見せないようにと、誰も見られない１人でいる時に泣いていた。
何もしてあげることができなかったと自分を責める気持ちと、何で自殺したの？といとこに対する疑問の怒りの気持ちと、いろんな感情が入り混じって、自分の中で整理できなかった。
叔母にあたる私の母親は、毎日泣いてばかりだった。私が悪い…、私が(いとこを)引き受けたのに…、どこかで私が(いとこを)追いつめていたのかな…、もう少しこうしてあげたら、もう少し聞いてあげたら、もっと関わってあげたら…と、ずっとずっと毎日毎日、自分のことを責め続けていた。
自分の気持ちを保つだけで精一杯
何で自死するんだと、自死はダメと、自死者を責める人もいる。
私もその１人だった。いとこが亡くなる前も、そして亡くなった後の数年の間も…。
今は気持ちが整理され、良いとは思ってはないけど、自死はダメと言い切れない考えも出てきた。
いとこが亡くなって数年は、私も母親も、自分の気持ちを何とか保つ為に、いとこに対して何で自死するんだと責める気持ちもあったと思う。自分を責めるばかりでは、自分の気持ちが持たないから。
でも、いとこを責める気持ちで、何とか自分の気持ちを保とうとしても、いとこを責めている自分にまた嫌気がさし、その自分を責めていく。責めのループから逃れられない。嫌でも日常がやってきているのに、こういうことばかり考えている自分に嫌気がさし、また自分を責めていく。
この気持ちや自分を責めることは、いとこが亡くなってから数年続いていた。
お互いに話し、吐き出すうちに
いとこが亡くなってから数年は、元々、真面目過ぎると言うか、繊細と言うかそんな母親の心が壊れそうなくらいに、気持ちが乱れていたので、私は母親のことを心配していた。
だから、母親にこまめに声を掛け、母親の乱れた感情や吐き出された言葉に、私なりに言葉を返していた。
今思えば、そうやって、母親に言葉を掛けたり関わった事が、自分の心を少しずつ落ち着かせることに繋がったのかなと思っている。
母親の為にと思ってやっていたことが、跳ね返って、自分の心を癒していた。自分が発している言葉が、自分が吐き出した拙い言葉が、いつの間にか、自分の心を少しずつ落ち着かせていた。母親も泣いて、泣いて、言葉や感情を吐き出しながら、時間が経つ内に、少しずつ心が落ち着いてきていた。
言葉にうまくできなくても良い
乱れた感情のままで良い
そのまま吐き出せばいい
自分が思っていること 感じたこと
私達も悩むことがあるし、どうしようもなく心弱ることがある
今は気持ちが整理され、良いとは思ってはないけど、自死はダメと言い切れない考えも出てきた。と先程書いた。
私達も悩むことがある。私なんかは、もうあっさりした考え方を持つようになったので、悩むけど、寝たり、数日したら忘れてしまうくらいの気持ちの持ちようになっているけど、人それぞれ、気持ちの持ちようは違う。どうしようもなく心弱ることがある。
自死した人は、死を選んでしまうくらいに悩みがあって、自死してしまったと考えるようになった。それ程の悩みって、とてつもなく辛いだろうし、しんどいと思う。そして、死を選んでしまうという決断は、しんどすぎる決断。して欲しくなかった決断だけど、その決断を選んだいとこ。決断を認めたくはないけど、誰かが認めないと、いとこのことも全て否定している気がする。
決断は認めたくはないけど、いとこなりに精一杯生きた人生は認めてあげたい。
だから自死はダメとも悪いとも言い切れない。でも良いとも思わない。
せめて自死を選ぶ前に
もしかしたら、気付いていなかったかもしれないけど、
すぐそばには 少し先の未来には
ほんの少しでいいから思い出してほしかった
あなたに会いたいと待っている人がいることを
今も会いたい 会いたいと思う気持ちは消えない
亡くなった母親のいるあの世に行けて、お母さんに会えることができて良かったね、甘えることができて良かったね、悩みから解放されて楽になったねと思う気持ちと、でももっと生きてもらって、いとこの人生を見たかったとの気持ちがある。
だから、今も会いたいと、ふと思うことがある。
生きていたら、いとこの人生はどう彩られてたのか、
生きていたら、誰かと一つ屋根の下で暮らしていたのだろうか、
生きていたら、人生を寄り添う誰かが過去の寂しさから救ってくれていたのだろうか、
生きていたら、私の人生にどう関わっていたのだろうか、
もう会えないけど
今も会いたい だって会いたいよ
あと少しだけでもいい、生きて欲しい
あなたの心を聴きたいから
少しだけでもいい、声を出してみて
あなたの心を感じたいから
少しだけでもいい、瞳を見つめて
あなたに会いたいと待っているから
そこでわたし待っているから 少しでもいいから生きて欲しい
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